憲法第9条(戦争放棄)条項について

清原淳平会長

講話日:令和2年12月18日(金)

清原淳平会長

講演要旨

憲法第9条(戦争放棄)条項について、詳細解説
 西欧の憲法では、1章~3章には国の基本原則を掲げるのが一般的である。日本国憲法において冒頭にこの「戦争放棄」規定があることは、「戦争放棄」が日本の国是だということになる。果たしてそれでよいのか?
①「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する」は、「今まではそうではなかった」という詫び証
 文とも受け取れ、自国の安全を国際社会に委ねるという植民地憲法の体裁でもある。
②「国権の発動たる」とは、英文を直訳すると「国家の基本的権利」となる。植民地時代のフィリピン憲法
 にも「戦争放棄」規定は存在し、これも日本国憲法が植民地憲法の体裁であることを示している。侵略戦
 争に限らず自衛戦争も放棄すると解する学説もあるが、不戦条約や国連憲章では侵略戦争に限定してお
 り、日本だけが異なる解釈をする必要はない。
③「陸海軍の不保持」は文言のままとして、その他の戦力とは何か?広く工場や飛行機まで含むとする説も
 あるが、それは常識に反する。日本国憲法制定からわずか3年で朝鮮戦争が勃発し、日本でも警察予備隊
 が創設された。制定当時の理想は崩れ、憲法だけが取り残された格好である。  
④「国の交戦権はこれを認めない。」の交戦権とは、交戦国に認められる一切の権利のことである。ここま
 で9条の文言を見ると、マッカーサーの日本に将来にわたって再軍備をさせないという占領政策の意図が
 二重・三重に伝わってくる。
⑤2項冒頭の「前項の目的を達成するため」が入ることによって、1項の「国際紛争を解決する手段として
 は」は、侵略戦争に限られることになり、2項の戦力不保持、交戦権否認も、侵略戦争に限られることに
 なり、自衛戦争のためであれば許されることになる。ともかく、この第9条は、学者によって18通りに
 解釈が分かれている。憲法という国家の基本法にあって、18通りに解釈が分かれるなどと言うのは許さ
 れない。
⑥国際法上、条約と自国憲法が矛盾するときは、自国憲法を改正するのが常識である。日本では改正の声が
 全く上がらないことに疑問を持っていただきたい。日本国憲法制定当時は、マッカーサーの命令が憲法よ
 り上だったのだが、その感覚がいまだに残っているからである。
⑦ドイツやイタリアは、独立回復後、すぐに憲法改正し、軍隊を保有し、国連の平和維持活動にも参加して
 いる。日本は戦後70年以上も経つのに、憲法は植民地憲法の体裁のままである。
⑧吉田茂総理も、岸信介総理も、日本国憲法が植民地憲法の体裁のままでは独立国ではないという認識で一
 致していた。それを、吉田茂は憲法改正に反対で、改憲派の岸信介とは犬猿の仲だというのは誤りである
 。
⑨独立回復後、国際連合に加盟するのが保守の悲願であった。それには、陸海空軍不保持・戦争放棄の憲法
 のままでは認められない。岸総理は、日米安保改定が済んでから、9条改正を考えていたが、安保反対デ
 モによって頓挫してしまった。あのデモのせいで、いまだに憲法は植民地憲法の体裁のままであることに
 腸が煮えくり返る思いである。
⑩9条の文言をそのままにし、3項を付け加えるか、9条の2を加えて、自衛隊を合憲化しようという意見
 があるが、これは、上位法・下位法の原則に反する。それは、法文の1項に原則が掲げられるのが通例で
 あり、武力行使の永久放棄・陸海空軍の不保持・交戦権の否認の3原則はそのまま残した上で戦力として
 の自衛隊が書き加えられることは、明らかに矛盾であるからだ。
 独立主権国家であれば、自分の国は自分で護るのが当然である。その上で、侵略戦争の否認を明記すればよい。
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